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2006年06月22日

●確率分布と公正価値

これまで求めたストック・オプションのキャッシュフローは権利行使時に算出されたものです。権利行使時にはその時点での株価は一義的に決まるので、キャッシュフローも容易に算出できます。

しかし、ストック・オプション発行時の公正価値を得るには、上記で算出されたキャッシュフローを発行時に割り戻して、算出する必要があります。
また、発行時においては、将来の株価は未知のものですから一義的に得ることは困難です、従って権利行使時における株価の確率分布を予測する必要があります。 先ほどのサイコロの例ですと、目の出方の確率分布は1から6までそれぞれ一様でしたが、株価の分布は下記の図のとおり釣鐘型の分布となります。

5_1.JPG


したがって、このストック・オプションの評価もサイコロの擬似オプションとおなじく

5_2.JPG

の算式で表すことができます。これがその株式オプションを保有し続けることにより、保有者が将来得るであろうキャッシュ・フローの期待値にあたります。またその期待値は1年後に確定するため、現在価値に割り引くには割引率(discount rate)が必要になりますが、これは後述の「算定技法に必要な基礎数値」である「無リスク金利」を使うことになります。