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2006年07月08日

●S/O評価に関する税務当局の動向は?

ストックオプションの取得者側の課税関係は、平成14年税制改正で明確化されました(所得税施行令84条3号新設)。また、ストックオプション会計基準の適用が会社法施行と同時(平成18年5月1日付)に行われ、これに対応して、平成18年税制改正によりストックオプション発行法人の費用計上額の損金性が規定されました。

このように、税務においてもストックオプションの取扱いが注目されており、その評価の問題がクローズアップされてきています。その具体的な評価手法についてですが、現状のストックオプションの税務上の評価に関して、相続時の評価方法としての財産評価基本通達において、上場会社銘柄のみを対象にし、また転換社債型新株予約権付社債の評価も対象にして、これらの評価方法を明示しており、それらは時間的価値を考慮しない方法によるものとしています。
ところが、『「財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらましについて(情報)(平成15年7月4日付)』においては、ストックオプションの評価方法について解説しており、そのなかでは、ブラック・ショールズモデル等の時間的価値を考慮した方法により評価すべき旨を説明してはいるものの、結局は見積株価変動率(ボラティリティ)などの数値の取り方次第で、算出されるストックオプションの評価額が大きく変動してしまうことから、相続税における財産評価の方法としてはこの方法によることは必ずしも適当ではないとして、計算の簡便性をも考慮して時間的価値を考慮しない「本源的価値」を採用すると結論しています。
 しかしながら、所得税、法人税等の分野では、時間的価値を考慮したより適正な評価方法が必要とされ、ストックオプション会計基準もそれによるべき旨を言っていること、実務においても評価事例が頻発している事からも、国税当局としてもこの動きは無視できないと考えられます。
 したがって、不用意な税務トラブルを引き起さないためにも、適正な論拠による評価を行うことが今最も望まれることになってきていると言えましょう。