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2007年02月19日

●新TOB規制と新株予約権の買取り

 昨年12月に施行された新TOB規制では、一定の場合に、新株予約権をも買付け対象としてTOBすることを求めています。

 新TOB規制では、買付け後の所有割合が3分の2以上となる場合、原則として、買収対象企業の発行するすべての「株券等」を対象として、TOBを行うこととしています(証取法27の2、同施行令8�三、他社株公開買付府令5�)。
 ここでいう「株券等」とは、普通株式のほかに、新株予約権や新株予約権付社債などの潜在的株式も含んでおり、したがって、TOBに当たっては、普通株のみならず新株予約権等も買付けることになるのです。
 
 しかし、新株予約権の買付けにあたっては、実務上さまざまな問題が残されています。最も重大な問題は、新株予約権の買付価格をどのように算定するかということです。
 普通株式の買付価格は、市場価格にプレミアムを上乗せすることで算定していますが、新株予約権については市場価格が存在しておらず、同様の手法で買付価格を算定することは困難です。
 さらに、新TOB規制では、株券等の買付価格に「均一性」を求めており、普通株式と新株予約権の買付価格には「均一性」が必要です。(※)この点も、新株予約権の買付価格を算定するにあたり、非常に頭を悩ませています。つまり、現段階では、何をもって買付価格が「均一」とするかが制度上不明であり、均一性の判断が明確に出来ないのです。
 
 なお、この「均一性」の判断は、公開買付届出書の「算定の基礎」欄において開示されますが、実務の蓄積がまだほとんどなく、今後の議論が大いに必要とされる項目といえるでしょう。

※ここでいう「均一性」とは二つの意味を持っています。一つ目は「同じ種類の株券等について、全ての応募株主への買付価格を均一にしなければならないこと」であり、二つ目は「異なる種類の株券等についても、買付価格を均一にしなければならいこと」を意味します。(ただし、異なる種類の株券等については、買付価格に名目的な差異が認められる可能性があります。)均一性の判断問題は後者について発生しています。